top of page

数次相続について

 数次相続とは、被相続人が死亡し相続が開始した後、「遺産分割協議」や「相続登記」を行わないうちに相続人の一人が死亡してしまい、次の遺産分割協議が開始されてしまう事を言います。

 こうした複数の相続が重なると相続人の数も増え複雑化して時間や手間がかかり、用意する書類も増えてしまいます。良くあるのが、地方に行くと先祖代々の田や山林、雑種地などを処分しようとすると、名義が祖父や曽祖父の名前になっていて売買等の契約行為ができなくて困ってしまうという事例です。また、田は耕作放棄地になってはいけないという事で、大規模農業法人に耕作を依頼しようとしても、名義が亡くなった人の名義となっていて賃貸借契約ができないという相談をされる方も多くいらしゃいます。

 数次相続の基本的な知識

 相続に伴う遺産分割協議は、いつまでに行わなければならないという決りはありません。しかし、長期間遺産分割協議を行わないで放置していると、相続人の関係も複雑化して人数も次第に増え、2代、3代と代を重ねてしまうと顔も見たこともない人を相手に話し合いという事になったり、全国に散らばる相続人と連絡を取り合う事にもなり、事実上話し合いが困難となるケースも出て、精神的な負担も大きなものとなります。

 また法定相続分の計算も個別に金額が変わり、放棄するという事にもなれば、家庭裁判所に申請する手間も出てくることもあります。複雑化すれば行政書士、司法書士に依頼する報酬も多額になる可能性もあり、すべてに良いことはないと考えます。

 数次相続の代襲相続の違い

 数次相続は「遺産分割協議に入る前に相続人の一人が死亡し、新たな相続が開始する」という状況であるのに対して、代襲相続は「生きていれば相続人の子供がその親に代わって相続人になる」という状況を言います。

 数字相続と代襲相続の違いは、亡くなった順番に違いがあり、代襲相続の場合は、父親が死んで、子供が相続人となるはずが、子供が親より先に亡くなって、その死んだ子供に代わって孫が相続人になるというものです。

 

 中間の相続が単独相続の場合

 第一の相続で、例えば祖父から直接引き継ぐべき相続人が一人の場合、この「中間が単独」ということになります。こうした、もともと相続人が数人いても相続放棄等で、結果として一人が単独で相続するケースでは、登記実務上「中間の相続が単独相続」として、中間の相続登記を省略して、最初に死んだ人から直接最後の相続人に所有権移転登記(相続登記)ができます。

直接の相続登記ができない場合

 例えば父から長男、長女が2分の1ずつ相続するとして遺産分割協議が行われ、その後、その相続登記前に長男死亡による2次相続が開始され、長男の相続分の2分の1をその妻が単独で相続するという遺産分割協議が整った場合に、最終的に長男の妻と長女がそれぞれ2分の1ずつの共有名義となります。しかし、この場合、1次相続で単独相続が行われていないために、例え2通の遺産分割協議書を添付しても被相続人の父親から長男の妻と長女(長男の妹)への直接登記はできないことになっています。

bottom of page